2014年10月31日金曜日

10月25日 木更津実習報告

 皆さんこんにちは。佐野充俊です。久しぶりの更新となります。

 本日の内容は先週10月25日に大学の木更津実習に行ってきたのでその報告です。

 木更津には小櫃川という川の河口に盤洲干潟という干潟があります。ここはかつて東京湾に広がっていた遠浅の干潟が残る数少ない場所です。また、干潟の沖合ではノリの養殖や観光用のすだて漁が行われています。


写真1~3 盤洲干潟の全容
 干潟に行くまでに最寄りのバス停から川沿いに歩いていきましたので川幅がとても広い汽水域の河川景観を見ることが出来ました。
写真4 汽水域の河川景観
 干潟の陸化したところには葦が生えている様子が確認できました。
写真5 葦が生えた干潟
 干潟には波の作用によって形成されたリップルという波状の模様が見られます。リップルはできる位置によって走行や波長が異なるようです。
 写真6 干潟の付け根のところのリップル
写真7 干潟の中心付近のリップル
写真8 干潟の先端付近のリップル
 リップルの断面は左右対称な山型となっています。
写真9 リップルの断面
 盤洲干潟の近くには何とTVCMで有名な「ホテル三日月竜宮城」があるのです!!さらに干潟からあの「海ほたる」も見えます。
写真10 干潟から見たホテル三日月と海ほたる
 実習ではずっと干潟の上を歩きましたが、一面砂ばかりの景色が続いています。目が疲れなさそうです。





写真11~16 干潟の景観
 干潟と陸の境界付近には小さな砂丘ができていました。長い時間がたつとこの砂丘が大きい砂丘になるのでしょうか。
 写真17 砂浜
写真18 砂丘
 盤洲干潟の入口にはこのような説明書きがあります。この説明書きは自分にとって非常に参考になります。
写真19 説明書き
 休憩を挟んで午後からは木更津市内の市街地に見られる河川や海岸の作用による地形を観察しました。
 下の写真20の水田の奥に見える森で覆われたところが小櫃川によってできた自然堤防です。川沿いの集落は自然堤防上に位置することが多いです。
写真20 自然堤防と水田
 下の写真21のハス田の向こうにある小高い森は浜堤といって砂丘の連続体です。木更津は浜堤上に形成された街です。浜堤は海の作用により、長い年月でいくつもいくつも形成されていきます。浜堤に挟まれた低地を堤間湿地といい、ハス田に利用されています。2年前に木更津にいったとき、ハス田とディーゼルカーを絡めてとったのですが、なんでハス田があるのだろうと思っていましたが、その理由がやっとわかりました。
写真21 浜堤と堤間湿地
 最後、木更津の中心市街地を歩いたのですが、高度成長期の人口増加によってできた大型商業施設がアクアライン開通と「失われた20年」によって撤退し、さらに三井アウトレットパークやイオンモールの郊外・臨港部の進出により、中心市街地のビルは空きスペースが増加したり、入居テナントが変化したりしています。まさに「郊外化」が進んでいる都市です。




写真22~26 木更津中心市街地の景観

 この実習を終えて、河川地形、海岸地形の学習になったとともに、「自然地理学をどのように土地利用に活かすか」、そして、「地域の現状を理解し、どのように改善していくか」を痛感しました。「地理学を学ぶということは、身近な地域を見直し、そして、身近な地域をよくしていくことだ」と気づかされました。
 
 今日はハロウィーンで仮装をしている人が多いことだと思います。今日は夜寒くなるので、くれぐれも仮装をして風邪を引かないようにしてくださいね。

 今日も残り少なくなりましたが、皆様にとっていい日でありますように。
 Trick or treat !!




2014年10月8日水曜日

蔵王県境問題が地理院地図で解決?~地理院地図の致命傷的問題~

 おはようございます。佐野充俊です。10月になって最初の更新です。

 今回は地理院地図によって引き起こされる問題を取り上げます。
 地理院地図は右クリックするとクリックしたところの住所が出るのですが、そのところから一番近い住所が表示されるため、県境未定地でも住所が出るという致命傷的問題があります。そのことで6月には富士山の県境問題で大騒ぎになりました。(詳しくはこちらをご参照ください。富士山の、静岡、山梨県境が確定!?-田代博のホームページ)そこで僕は、同じく県境未定地がある蔵王山でやってみました。
 蔵王の県境問題は1960年代から問題になり、一応解決はした話ですが、あくまで解決したのは、上山市と七ヶ宿町の境界部分であり、熊野岳山頂を含む上山市、山形市と蔵王町の境界はいまだ未定のままです。(こちらに詳しいことが書いてあります。蔵王山境界紛争を考える-仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル)
 蔵王の地図を出してみると、やはり一部に県境の空白がありました。
熊野岳山頂の住所を表示させてみると「山形県上山市蔵王」と出ました。県境未定なのにこれはおかしいです。
 しかし、「データに空白がないのであれば、これで県境が引けるのではないか?」と思い、細かな範囲で住所を表示させ続けました。





























 その結果、県境確定地の北端と南端をほぼ一直線につなぐ、県境が引けます。
 しかし、これだと熊野岳山頂が山形県になってしまうので、宮城県が熊野岳山頂の所有権を主張すると県境は登山道に沿う形となります。
 
 私としては、蔵王山は宮城と山形の共有財産であるので、県境問題如きで争ってはならないと思います。実際にこのような動きもあるようです。(蔵王のお釜は共有財産-仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル)
 
 地理院地図は確かに便利ですが、このような問題の種になることも忘れないでください。
 
 今日も皆様にとって良い一日でありますように。