2014年11月11日火曜日

10月26日 養老渓谷実習

 みなさんこんばんは。佐野充俊です。11月になって初めての更新です。
 
 今回の内容は10月26日に行われた養老渓谷実習の報告です。

 まず養老渓谷の定番観光地粟又の滝に行きました。粟又の滝は滝としての落差は大きくはありませんが、幅が広いのが特徴です。
写真1 粟又の滝
粟又の滝の周りの崖には地層面が斜めになったところがみられます。これは房総半島の南部が相対的に隆起していることを表します。さらに針葉樹も見られますが、これは人工的に植えたものだと思います。
写真2 周辺の崖
写真3 斜めになった地層面
粟又の滝の近くの養老川の河岸は遊歩道が整備されているため、人工的な河川改修を行った河岸と同じようになっています。
 

写真4・5 粟又の滝の近くの養老川
粟又の滝周辺は遊歩道整備がなされていますが、崩落や倒木の可能性があるため、通行止めにしていることがこの案内板から伺えます。
写真6 遊歩道の案内板
その後、昼食休憩を挟んで、午後からは歩いて河川地形の観察を行いました。
 歩いて行く途中の田園景観は僕が宮城県蔵王町で見るような景観と似たところがありました。


写真7~9 山間の田園景観
 また、歩いて行く途中には映画の中で自転車とディーゼルカーが競争しそうな光景がありました。

写真10・11 映画に出てきそうな光景
しばらく歩くと江戸時代の「川廻し」によって旧河道に水田を整備したところにたどり着きました。昔はここを養老川を流れていたそうです。


写真12~14 河道跡の水田
それから少し歩くと太鼓橋にたどり着きました。太鼓橋の上流下流ともに穿入蛇行が見られます。


 写真15~17 太鼓橋付近の養老川の穿入蛇行
 写真18 太鼓橋


写真19~21 太鼓橋の上から見た養老川
 それから少し歩くと養老渓谷温泉街に出ました。見た光景が宮城県蔵王町の遠刈田温泉のはずれのようでした。

写真22・23 温泉街
 そこから右に曲がるとトンネルが見えました。中は一部手掘りになっていました。
写真24 トンネル入り口
写真25 トンネル内部
写真26 手掘りの形跡
写真27 トンネルの途中接続部
 トンネルを抜けると美しい山間の河川景観があるところに出ました。あと1か月ほどで紅葉の季節になるのでその時はきれいな景色がみられるところでしょう。

写真28・29 山間の河川景観
 トンネルを出て、川沿いの遊歩道を進みました。この写真を見ると、怪しい雰囲気を感じる人がいると思います。
写真30 怪しい川沿いの遊歩道
 遊歩道に入ってすぐに砂泥互層の露頭が目に入りました。ここは水平に堆積しています。
写真31 砂泥互層の露頭
 川の対岸には笹がたくさん生えていました。上流側に橋が架かっていますが、山間の風景で風情がありますね。
 写真32 川の対岸
写真33 上流側に架かる橋
 その後歩くと、砂泥互層がわかりやすく露出している露頭がありました。こちらは露頭に不整合が見られます。
写真34 不整合がある砂泥互層の露頭
 その露頭の前から川を見ると河床面に段差があることがわかります。
写真35 段差がある河床
 そこから少し歩くと、分厚い泥層の露頭がありました。
写真36 分厚い泥層
 そこから川の対岸を見ると斜めになった地層面が見えました。やはりここも関東造盆地運動の影響を受けているのだと思います。
写真37 対岸の地層面
 さらに川の中にも陸上の崖のようなものがみられました。
写真38 水中の崖
 さらに歩くと、これもまた紅葉がきれいに見えるようなところに出ました。このあたりの河床は基盤岩がむき出しになっているように見えます。
 写真39 紅葉がきれいに見えるような峡谷
写真40 基盤岩むき出しの河床
砂泥互層はこのあたりに広く堆積しています。
写真41 砂泥互層4
さらに歩くと、青森県の奥入瀬川上流のような景観が見えてきました。
写真42 千葉の奥入瀬
また更に歩くと、弘文洞という川廻しによって掘られた導水トンネルの跡につきました。昔はここに滝があったそうなのですが、長い年月が経って滝が後退したようです。
 写真43 弘文洞跡
写真44 弘文洞跡にあった説明版
このあたりに地層と河床の様子がみられるところがあり、クリノメーターで調べてみると、地層の走向と傾斜の向きが直角になっていました。
写真45 地層と河床の様子がみられるところ
 下流に行くにしたがって、養老川はだんだんと川幅を増すようです。

写真46・47 川幅を増す養老川
 さらに下流に向かって歩くと、梅ヶ瀬層という海底の谷が隆起した地層の露頭にでました。ここの地層面はほぼ水平なのが特徴です。
写真48 梅ヶ瀬層露頭上流の養老川
 写真49 梅ヶ瀬層露頭
写真50 露頭の拡大
 さらに下流側に行くと再び河岸の露頭の地層面が傾斜したものになります。
写真51 下流の峡谷景観
 さらに歩くと、養老渓谷の景観のもととなっている関東造盆地運動の説明版がありました。わかりやすく書いているので事前に呼んでおいたほうがいいと思いました。
写真52 関東造盆地運動の説明版
 その近くの養老川は深い渓谷を刻んでおり、紅葉の写真を撮るにはいいところだなと思いました。

写真53・54 深い養老川の渓谷
 
 この実習を終えて僕が思ったのは「地理学とやるということは自分にとって身近な地域の自然環境を見直すこと」ということです。今までに行ったことがあるところなのに、地理学の知識の有無で見る目が変わります。そして、地域の自然環境を地理学的知識で見ることで、地域の自然環境の保全や、今はやりのジオパーク運動の推進につながるということを痛感しました。
 
 房総半島は日本でも特異な地形発達を遂げているところなので僕は「大房総ジオパーク」ということで房総半島の自然環境を多くの人に関心を持ってほしいと強く願います。

 今日も残り少なくなりましたが、皆様にとってよい一日でありますように。
 そして明日も皆様にとって良い一日でありますように。